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【静岡】初代キングセイコー:孤高の美意識と精緻な時

【静岡】初代キングセイコー:孤高の美意識と精緻な時

1961年、日本の時計史に一つの転機が訪れました。前年に「国産最高級」として華々しく登場したグランドセイコーに対し、東京・亀戸の第二精工舎が世に送り出したのが、初代キングセイコーです。この時計は、単なる二番手ではありませんでした。それは、独自の美意識と技術的なプライドを宿し、孤高の道を選んだ、もう一つの傑作だったのです。

グランドセイコーとは一線を画す「孤高の美意識」

初代キングセイコーの最大の魅力は、そのデザインが放つ凛々しさと直線的な美しさに集約されます。これは、長野・諏訪の諏訪精工舎が手掛けた初代グランドセイコーが、柔らかな曲線と繊細な造形によって「美しさ」を表現したのに対し、キングセイコーは対照的に**「威厳とモダンさ」**を追求しました。

フラットでシャープな造形

ケースは極めてフラットで、エッジの効いた直線的なラインが特徴的です。この簡潔で研ぎ澄まされたデザインは、当時世界を席巻し始めていたモダンデザインの潮流と共鳴し、東京・亀戸の**「粋(いき)」**を体現するものでした。無駄を削ぎ落とし、時計の存在感を力強く主張するこの造形は、半世紀以上が経過した現代においても、全く色褪せることなく、むしろ新鮮な魅力を放っています。

「ライターカット」の煌めき

文字盤のディテールにも、孤高の美意識が光ります。太く存在感のあるインデックス、特に12時位置のインデックスには、当時の高級ライターやカメラのノブに使われていたとされる**「ライターカット」**と呼ばれる繊細な刻み加工が施されました。これは、多面カットによる立体的な輝きに加え、光の当たり方によって様々な表情を見せる特別な仕上げであり、控えめでありながらも、視認性と高級感を両立させる絶妙なバランスを生み出しています。

「精緻な時」を刻む、第二精工舎のプライド

初代キングセイコーが単なるデザイン時計で終わらなかったのは、ムーブメントに込められた第二精工舎の技術的な矜持があるからです。

ベースとなったのは、同社の傑作ムーブメント「クロノス」を改良した手巻きムーブメントです。グランドセイコーが「国産最高峰の精度」という大目標を掲げたのに対し、キングセイコーは、**「高級時計としての品質と精度を、手の届く価格で提供する」**という、より実用的な目標を追求しました。

高精度を支える工夫

このムーブメントには、精度と耐久性を高めるための工夫が随所に凝らされています。

緩急針微動調整装置

より精密な歩度調整を可能にし、高精度を維持するための重要な機構です。

高品質な部品

香箱車の軸受けに穴石を使用するなど、摩耗を減らし、ゼンマイの力を最大限に活かす設計が採用されました。

秒針規制(ハック機能)こそ省略されましたが、全体的な仕上げと精度はグランドセイコーに比肩するものであり、第二精工舎の技術者たちが、自社の哲学に基づき、徹底的に実用性のある高級機を目指したことが見て取れます。

 歴史に刻まれた「王の盾」

裏蓋に刻まれた**「盾」のメダリオンは、キングセイコーの威厳を象徴するアイコンです。この金色の盾は、亀戸の技術者たちの「最高級機を作ってみせる」**という強い意志とプライドの結晶であり、この時計を所有する喜びを視覚的に伝えています。初代キングセイコーは、日本の時計産業における二大勢力、諏訪と亀戸の競争が生んだ、歴史的な名作です。グランドセイコーが「最高の美と技術」を希求したとするならば、キングセイコーは**「現代の美と実用性」**を体現したと言えます。時を超えても愛され続ける初代キングセイコーは、日本の時計が世界に羽ばたくための礎を築いた、孤高の美意識と精緻な時を宿した、真の「王の時計」なのです。

LUCIR-K

LUCIR-K

静岡の中心地にあるLUCIR-K(ルシルケイ)はブランド時計やヴィンテージ時計を扱うお店です。ロレックスやオメガ、カルティエ、グランドセイコーなど数多くのブランドとモデルを取り揃えています。

 

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